放課後、俊と一緒にプールへと向かう。
となりで不満の声をこぼす俊に、
私は苦笑する。
ちなみに、指名された人数は
私と俊を混ぜての4人。
亜莉朱ちゃんと佐々木宏太くんも
一緒の掃除メンバーに。
皆でローファーと靴下を脱いでから、
はだしでプールサイドに上がると、
塩素のツンッとした匂いがまとわりつく。
掃除道具が置いてある倉庫のなかに入ると、
1つだけモップが壊れていることに気づく。
そう笑うのは、
ジョークと盛り上げることが得意な佐々木くん。
ふわふわとしたショコラ色の髪に、
パッチリとした愛らしい二重のたれ目。
さらにぷっくりとしたさくら色の唇で、
子犬みたいな可愛らしい顔立ちだ。
クラスの皆からは、フレンドリーに
“宏ちゃん”なんて呼ばれるくらい
男女問わずに好かれたムードメーカー的存在で。
思いっきり笑う太陽みたいな笑顔を見たら、
大抵の人は佐々木くんの魅力にハマっちゃいそうだ。
かったるそうに喋る俊に、
物ともせずに聞き返す佐々木くん。
ふとプールサイドの外側に目をやれば、
周りは雑草が伸び放題になっている。
ここも一応、プールサイド付近だから
掃除に入る、よね。……うんうん。
なんか俊たちモメてる……??
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。