放課後の時間になって、
図書室に向かう準備をする。
教室で待っててもいいんだけどなぁ。
でもいっか。私も俊と、
少しでも長く過ごしたいしっ。
なんて、話しているうちに
図書室の前に。
ドアからひょっこりと顔を出して
私を呼んだのは、同学年で
同じ図書委員の黒瀬歩くん。
図書室のなかに入ると、
テーブルにはダンボール箱が
いくつも置かれていた。
わぁー、これ全部!?
苦笑いを隠せない黒瀬くん。
キャラメル色のきれいな髪は、
ふわっとゆるめのパーマがかかっていて。
全体的に美しい目鼻立ちの黒瀬くん。
首元にはおしゃれなネックレス、
そしていつも黒の時計を手首につけていて。
黒瀬くんが動くたびに、
バラのようないい香りまでしてくる。
そこまで背が高くはないけれど、
まるで少女マンガの世界から抜け出した
王子様のように超絶美形男子で。
黒瀬くんのところだけ、
キラキラオーラ全開って感じだ。
たしか、俊と並ぶくらいの
人気があった気がする。
甘いマスクでニッコリなんてされたら、
一瞬でハートをつかまれるのも頷けてしまう。
きっと並べてたら、今日中には終わらないもん。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。