なんとかギリギリまでねばっていたら、
本をダンボールから全て出すことに成功。
ただカッコイイだけじゃなく、
本当に紳士な王子様です。
図書室を出たあと、
待たせちゃっている俊に申し訳ないと、
小走りで教室へと急ぐ。
教室の前に着くと、
ドアから俊の背中が見えた。
……やっぱり待っててくれたんだ。
“俊”そう呼ぼうとしたけれど、
あわててお口をチャックする。
だって、俊ってば
うとうと居眠りしてるんだもんっ!!
うぅ……可愛すぎる天使さんです。
スクールバックからスマホを取り出して、
カメラモードにしたあと、
俊のそばまでそーっと近づく。
やっぱり、この癒しは永久保存しないと、
絶対にもったいない。
にしても……。
本当に寝顔がキレイすぎて可愛くて。
なんて思ったのもつかの間。
寝ていたはずの俊が、
器用に私の腕をパッと掴んで
目を閉じたまま喋っている。
だ、騙されたー……。
抱きしめられて……る??
いやいや!!
行動と言葉が合ってないような……。
黒瀬くんがどうしたんだろう??
も、もしかしてー……
いつもの嫉妬日和ですか……??
カッコイイ、とは思うけど。
やっぱり私の王子様は俊っていうか。
きっとドキドキ胸の音、俊にも聞こえてるよね。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。