“15番”だ。
新しく私の席になる窓側の後ろ。
なかなか日当たりも良くていい感じかも。
前の席は、太田亜莉朱(おおたありす)ちゃんか。
いつも笑顔で、大人って感じの雰囲気なコなの。
また背もモデルみたいに高いから、
制服も抜群に着こなしてるんだよね。
うらやましい~。
サラサラと風になびく髪は、
高くポニーテールに結んでいる。
それがとってもお似合いで、
私も見ほれちゃうくらい。
いいなぁ……
こんな風にポニーテールが似合う
美少女になってみたい。
突然、後ろから聞こえてくる
優しい声にあわててふり向けば。
後ろななめの席に俊が着席する。
……えっ??
ってことは~~~!?
えへへ。
新しく席替えした今も楽しくなりそうな予感。
安心して、思わず口元がゆるむ。
*
授業が終わって休み時間になると。
ななめ後ろの俊が、背中をツンツンとしてきた。
えっ!?私の表情!?
何のために~!?
アハハなんて言いながら、必死にお腹を抱えて大爆笑してる。
えっ、どうして!?
どんどんと熱が全体に上がっていくのが、
自分でも恥ずかしいくらいに分かる……。
可愛いだなんて!!
ちっとも私には、当てはまらないけど
……それでも。
大好きな俊に言われるのは、やっぱり嬉しい。
頭をなでてくれるその手は、
本当に温かくて優しい。
ずっと触れていて欲しい……
なんて思ったりも。
少しだけ困ったような表情で、
亜莉朱ちゃんが私の方へと体を向けていた。
恥ずかしい……っ!!
み、見られてたよね!?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!