男心ってものが、
ちょっと分かるようになって半年。
穏やかな学園生活を送っていた。
高1の3学期も、もうすぐ終わる。
暖かい冬だったから、
もう桜が開き始めている。
足元がフワフワする。
終わってしまう1年への不安と
新しい1年への期待。
2~3学期は、中間も期末も、
無一郎が1位でわたしが2位だった。
みんな、口々に答える。
みんなが
赤くなった無一郎に注目した。
みんなは笑ったけど、
無一郎が本気なのが伝わって、
わたしはちょっと…
ううん、かなりうれしかった。
わたしとの未来を見てくれている…。
一緒にいると忘れちゃうけど、
無一郎のすごさは、無限だ。
果てがないみたい。
優秀な頭脳…
整った顔…
高校一の、剣道の腕前…
こりゃしばらく
無一郎のまわりは騒がしくなるかもね!
***
そして取材も終わり、屋上。
ちゅっ…
ちゅっ…ちゅ~…
全国模試1位でも、
インターハイ優勝でも、
わたしにとってはたった一人の
普通の彼氏で、
ちょっとえっちな普通の男の子。
それが時透無一郎なんだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。