私はしばらくこの人達と仲良くさせてもらって分かった事が何個かある
まずは、6人とも私の事を好きということ
それは、友達としても、異性としても。という事が分かった
勿論、私は記憶が無くなる前の自分を知らないし、今の性格と真逆の性格だったかもしれないから、気持ちに応える事は出来ない
それと、もうひとつ分かった事はたくさんの人が私の事を必要としている事だ
それは、学校であったり、私の家族は少ないが家族であったり、そして1番はリスナーさん達だ
でも、こればっかりは仕方がない。
先生や、クラスメイト、すとぷり、私のリスナーさん達
今の私はその皆が知っていた“私ではない私”の事が好きだったのだ
だってそうでしょ?
もしかしたら、記憶が無くなる前の私は授業に積極的だったかもしれないし
友達もたくさん居て、クラスの人気者だったのかもしれない
あるいは、常におしゃれに気を配っていて凄く可愛くて綺麗だったかもしれないし
今の声よりも、もっともっと透き通った声で歌い、明るく生放送をして皆の事を元気にしていたのかもしれない
前の自分に戻る事は出来ない。
記憶が戻らない限り…
だから、本当に私はこのままで良いのか
このまま、学校に新しい自分として再スタートして通い、前と変わっていて接しずらくなって友達が減ったり、すとぷりも私から離れて、歌い手としての人気もガタ落ち
そんな風になってしまいそうな不安が私の中に立ち込めている
今の私には前の私のように過ごせる自信がない
それならいっそ皆の前から姿を消してしまいたい
今の私には、死ぬ。というより“消えてしまう”方がよっぽど良い
誰の記憶にも残らずに。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。