そう心の中で呟き、莉犬の顔は段々と赤くなっていった
答えは決まっている
本当は莉犬の悲しんでいる顔は見たくない
なんで僕は莉犬の背中を押したんだろう…
その日の放課後
莉犬は家路を歩いていた僕を走って追い掛けてきて僕に飛びついてきた
莉犬の綺麗なオッドアイの瞳は少し潤んでいて、大体の事情は分かった
莉犬…僕がそれを言ったら君はどういう反応をするのだろう
僕は……莉犬に嫌われたくない…
莉犬を傷付けたくない…
たった1人の友達だから。
莉犬以上の最高の友達なんて居ない…
気が付いたら…
と口に出していた
莉犬…知ってる?
僕って嘘をつくのも演技も上手いんだよ?
でも……莉犬は僕の言う事を信じた
今まで沢山の嘘をついてきたけど何故かこの時は罪悪感が凄くあって心の中に何かもやもやっと霧が掛かったようだった
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次の週の月曜日。
委員会活動も終わってって夕焼けに染まった教室をじっと見つめていた
それは莉犬に呼ばれていたから
委員会が終わってから15分経った時、廊下から走ってくる足音がした
多分莉犬かな?
ガラガラッ
聞いちゃったんだ…
莉犬に傷付いて欲しくなかった…
僕が傷付けちゃった……?
大好きな友達を………?
_お前なんて友達じゃない!!_
_るぅとくんの嘘つき!!_
_るぅとくんなんて…るぅとくんなんて消えてしまえ!!_
嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ!
僕の所為で親友は死んだ……
薄れゆく意識の中でその言葉だけを口に出した
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僕は小学校の時(姉さんと離れた後)凄く仲良しな子が居た
でも、ある日その子と喧嘩しちゃったんだ
原因は親友の好きな人の好きな人が僕だったこと
それを親友は何故か親友の好きな人と僕が付き合ったと思い込んで喧嘩した
喧嘩していた時親友は心の中で本当は違うってわかってる……早く俺から謝ってまた仲良くしたいのに…「ごめん」が口から出ない…と言っていた
喧嘩は僕達2人とも驚く程長引いた
ある日親友は死んだ。
親友と最後に話した内容は互いの悪口だった
本当は2人とも心もとない言葉を発していたが、それを知っているのは僕だけ
こんな事になるなら早く仲直りしておけばよかった…
もう………恋なんてしたくない…
そう心の中で呟き、空を見ると
いつの間にか夕日は沈んでいて紺色がかった黒の中に
静かに輝く星が2つ、並んでいた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。