_三里side_
俺って…ダメな奴だな。
"好きな人"を守ることさえ出来なかった…
そんなんじゃ…"恋"なんてしてる資格ねぇよ。
そう考えていると、論と目が合った。
俺はその状況に耐えられる気がしなくて、
直ぐに目を反らした。
しかも相手はあなたを救った"ヒーロー"みたいなもんだぞ…
俺なんて…直ぐに行動出来なかった奴なのに…
俺はあの中に入れそうにないな…
まぁ…そりゃそうか。
(ガシッ)
………は?
俺は自分の腕を掴んだ相手に驚いてしまった。
だってその正体は………
俺の好きな人…いや……
"大好きな人"だったから…
何もしてあげられなかった。
ただ見ていることしか出来なかった俺に、
何でそんな優しくするんだよ……
馬鹿野郎………
お前のそういう姿を見てると、
もっと好きになっちまうじゃん。
俺は涙が出そうな気持ちを抑えながら、
あなた達の中へと入っていった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!