【立体機動装置の実戦訓練にて】
私はある事を考えながら立体機動装置で移動していた。
調査兵団は今、ひと月後の壁外調査に向けて極限まで戦闘能力を高めるため、立体機動装置の実戦訓練を行っている。
森の中で行うため、比較的移動はしやすい。
つい3日前にハンジさんに言われた事を私はくり返し考える。
脳内でハンジさんの言葉が再生された。
思い出しちゃって、思わず邪念が入る。
スカッ
__________やはり考え事は良くない。
装置の先が木に刺さらなかった。
近くを飛んていたミカサが私の名前を呼んだ。
こういうときは絶対目をつぶってしまうのはなぜだろう。やっぱり怖いのかな……
パシッ
風をきる音が聞こえたと思えば私は誰かに腕を掴まれた。
何者でもない、私が恋してるらしい兵長だった。
まさか助けてもらった張本人のせいで落ちそうになったなんて言えないし、ましてやさっきまでの恐怖はどこいったのか距離の近さを無駄に意識してしまう自分がいるなんて口が裂けても言えなかった。
自然に話すのってこんなにも難しかったっけ?
やっぱりなんだかんだ言って兵長は心配してくれる。
すぐにミカサが駆けつけてきた。
ジャンがエレンを呼ぶが、エレンの反応はない。
再度呼んでも反応なし。
3回目でやっとエレンは反応した。
………またはじまっちゃった笑二人のケンカ…
いつの間にか兵長はどっかに行ってしまったみたい。
やっぱりいつも助けてくれる、優しいけど少し不器用な兵長、
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。