移動途中、足に痛みを感じてしゃがみ込む。
慣れない下駄を履いてきた所為だろう。
鼻緒擦れが出来ていた。
巾着袋の中を探っていると、あることに気づく。
✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄
少し歩いた先にあったベンチに腰掛ける。
高校生にもなって迷子とか…
この場所には誰もいない。
遠くの方から人の話し声や笑い声だけが聞こえる。
普通だったら、誰しもが " 寂しい " という感情に陥るのだろう。
だけど、私は慣れてるから大丈夫。
" 寂しさ " も " 孤独 " も、生まれてからずっと経験してきたことだ。
今更どうも思わない。
「 大変お待たせしました。まもなく開始致します。」
アナウンスが流れてから数十秒後、何もなかった空に、花火が打ち上がった。
…どんなに孤独を経験しても、やっぱり一人は辛いもんだ
人間、一番怖いのは死よりも孤独。
孤独より怖いものなんてない。
今の私は、寂しさで押し潰されそうだ。
早く、誰か私を……
見つけて────────
「 狗巻… 」と私が呟くと、ゆっくりとこちらに近づいてくる。
" やっと見つけた。"
…バーカ
もっと早く見つけなさいよ。
✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄
私は狗巻から、今まであったことを全て話してくれた。
暫くしてから私がいなくなったことに気づいたとか、それから皆で探し回ってたことやその他諸々。
ヒューン…
ドーン!
本来なら、気まづくなるようなこの状況。
だけど不思議と、気まづくはなかった。
寧ろ、とても落ち着く。
目だけを動かして狗巻を見る。
長い睫毛。
サラサラな髪。
広くもなく狭くもない、丁度いい肩幅。
ドッドッドッドッ
心臓が、激しく波打つ。
もう、認めざるを得ない。
私はこいつに、狗巻に恋してるんだ。
一年の時からずっと──────。
✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄
……To be continued
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。