(一応 返信しておこう...)
どれ位の時間が経っただろう。
散々泣いた私は、残った力を振り絞ってスマホを手にした。
でも...なんて言えばいいんだろう。
今の時点でも嫌われている可能性が高いのに、これ以上嫌われるようなことしたらダメだよね...。そうだよ、涼介は連絡してくんなと言っているんだ。やめておいた方がいいのかもしれない。私はそう考え、その日は眠りについた。だけど実際に眠りについたのは、ベッドに寝転がって2時間も経った頃だった。
次の日。
今日は金曜日だ。
前までだったら、毎週金曜日が涼介と電話のできる日だった。
だけど今は────。
あなた「はぁ.........。」
深くため息をついた私に、
菜帆「どうしたの?」
と、同じ会社に働いている同僚の菜帆が声をかけてきた。
今は昼休み。
私は食堂で1人ご飯を食べいた。
菜帆よりも早い時間にお昼ご飯を食べていたところを、丁度今からお昼ご飯を食べようとしている菜帆に心配そうに声をかけられた。
あなた「菜帆ぉ~!!」
と私はものすごい勢いで菜帆に抱きついた。
菜帆 「ど...どうしたの!?何があったの!?」
心配性の菜帆はものすごく焦っている。
あなた「昨日は今までで1番泣きました」
菜帆「えぇっ!珍しいね、あなたが泣くなんて...」
と、めちゃくちゃ驚いている様子の菜帆。
菜帆 「私に話しても大丈夫な話?」
私はこくっと頷くと、菜帆と向かい合って座り、昨日のことを菜帆に話した。
ついでに直接涼介とのLINEの画面を見せた。
すると菜帆は、
菜帆 「ひどい...。涼介くんってこんな人じゃないと思ってたのに...。」
菜帆も涼介と同じで小学校からの友達で、私の親友的存在だ。だから、私と涼介が付き合っていることは、唯一菜帆だけが知っていた。だから菜帆には相談することが出来た。
あなた「うん、私も本当にびっくりした...。今でも信じられないって思ってる。けど、事実だから、受けいけなきゃいけないんだよね...。」
あぁ、どうしよう。また泣きそうだ。
昨日で涙はすべて枯れたと思ってたのに。
菜帆 「.........これからどうするの?」
あなた 「しばらく様子を見るね。もしかしたら、疲れていてそれで私に八つ当たりしたのかもしれないしね!笑」
菜帆 「うん、そうだね!」
と、いいながらも、菜帆の笑顔はどこか引きつっていた。私の事を思ってくれているんだな、と思えた。私が無理やり明るく話しているの、きっと菜帆は気付いてる。菜帆は昔から、よく周りのことを見ていて、しっかりしている子だった。ちょっと天然な部分もあったけどね。
そんな菜帆が私は昔から大好きだ。
菜帆だから一緒にいれる。
菜帆だから何でも相談できる。
菜帆だから思いっきり泣くことが出来る。
菜帆だから今私は笑っていられる。
菜帆は私にとって、本当に特別な存在。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!