あなた 「……...なに、これ.....。」
私の部屋はめちゃくちゃに荒らされていた。
タンスやクローゼットは開けっ放しでところどころ服がはみ出ていたり、
カーペットの位置がずれていたり、立ててあった写真が倒れていたりしていて、明らかに何者かが入ったことを示していた。
……泥棒.....だ、よね...
恐怖と混乱でその場から全く動けずにいた私は思考停止になりかかっている脳を精一杯動かしてそんな事を考えていた。
時間は実際そんなに経ってないはずなのに自分の感覚では30分間くらいその場にいたような感覚に陥った頃。
ピロリン♪
LINEの着信音だ。
その音にはっとなった私は急いでLINEを開く。
こんな状況であろうと、少しの期待を寄せてい
たからだ。
"もしかしたら涼介かもしれない"
可能性がもうゼロに近い人からのLINEなんて、来ることなんてないとわかっているのに。
こんな状況でも、やっぱり考えてしまう自分がいた。
でも、そのLINEは、
大ちゃんからだった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。