あれから約2週間が経った。
私と黒尾くんは今までよりも距離があるように感じた。
なぜなら私が彼を避けるようになったから。
衛輔くんと研磨くんには
もう写真は撮りに行かないと伝えた。
マネージャーの聖奈ちゃんもいるし
撮ってもらえばいいと言った。
衛輔くんも研磨くんも反対していたが
もう決めたことだから、と伝えた。
それとバレー部の朝練がない日は
衛輔くんと登校することにした。
それも、黒尾くんたちと会わないように
朝は早めに来るようにした。
黒尾くんと連絡も取らないようにした。
LINEもインスタも通知が来ないようにした。
私はもともと返信が遅い人間だから
"返信遅いな"としか感じないだろうけど。
少しずつ彼から気持ちが離れていく気がした。
もう、彼への気持ちは無くそうと
自分に言い聞かせた、ある日_____
____________________
授業が終わって私はバイトに向かう途中だった。
(やばい、急がなきゃ…!!)
日直で日誌を書かないと行けなくて
学校を出発するのが少し遅くなった。
(このままじゃ電車間に合わない、どうしよ…)
電車に乗らないと出勤時間に間に合いそうになかった。
しかも今日は雨で徒歩で登校した。
(なんでこういう時に雨なの…!)
横断歩道の信号はまだ青だった。
(間に合うかな…)
点滅し始めた信号。
でもこれで渡らないと電車に乗れない
間に合わない…
(だめだ、行こう…!)
私は点滅していたが横断歩道を渡ろうとした。
その時、左側に車が見えた _________
(…え……)
__________ドンッ
_____________________
…な、み…!
_______________ 七海……
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!