すっと視線を逸らしたあなた。ここまでお膳立てしてたら分かるよな、そりゃ。彼女も何かを感じ取ったようだ。
今日の日替わりって何?そっちの文化祭の調子はどう?今まで俺達が会話してきた中で、どんなものよりも単純で、簡単な言葉のはずなのに、口に出そうとするとどんな言葉よりも重い。
それはどういう意味なん?
言葉を区切りながら、一生懸命次の言葉を紡ぐあなた。
振られた…わけではない…?好きだけど、付き合うのは無理ってこと?それって振られたんかな?
告白して、心は晴れない。やっぱりもっと時間を置いた方がよかったのかもしれんな。
*side os*
俺はこの十分間、ファストフードの店内で何を聞かされていたのだろう。
Mサイズのアイスティーに入っている氷をシャコシャコとかき回しながら、あなたの話に耳を傾けていた。昨日ゾムに告白されたらしい。昇降口から家に入るまで、事細かに聞かされた。
俺が聞きたいのはそこ。
今の反応速度は早すぎたかもしれない。
自分の中で噛み砕いて理解してみた。つまり、付き合うとかは無理。でも、嫌いじゃない…ってことは好き、やから…両想いってことなん?
畳みかけるように質問をする。
彼女の手に自分の手を乗せる。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。