第32話

2,966
2020/04/04 04:13
あなた

…なに?

すっと視線を逸らしたあなた。ここまでお膳立てしてたら分かるよな、そりゃ。彼女も何かを感じ取ったようだ。
zm
…好き…です…
今日の日替わりって何?そっちの文化祭の調子はどう?今まで俺達が会話してきた中で、どんなものよりも単純で、簡単な言葉のはずなのに、口に出そうとするとどんな言葉よりも重い。
あなた

あ、うん…

それはどういう意味なん?
zm
…急にごめんな
あなた

いや?うん。…でも、ごめん。今はちょっと…受験とか、そういうの…ある、から…

言葉を区切りながら、一生懸命次の言葉を紡ぐあなた。
zm
そっか…せやな…
あなた

あのね、ゾムが嫌いなわけじゃないの。それだけは…あれかな…分かってほしいかな…

zm
あ、おう。うん…
振られた…わけではない…?好きだけど、付き合うのは無理ってこと?それって振られたんかな?
あなた

じゃあ、ここで。…またね

告白して、心は晴れない。やっぱりもっと時間を置いた方がよかったのかもしれんな。

*side os*
あなた

ってわけです…はい…

俺はこの十分間、ファストフードの店内で何を聞かされていたのだろう。
Mサイズのアイスティーに入っている氷をシャコシャコとかき回しながら、あなたの話に耳を傾けていた。昨日ゾムに告白されたらしい。昇降口から家に入るまで、事細かに聞かされた。
あなた

どうしよう…

osmn
返事は?
俺が聞きたいのはそこ。
あなた

してないよ。いや、したか…

osmn
なんて?
今の反応速度は早すぎたかもしれない。
あなた

なんてって…付き合うとか、そういうのは…考えてないけど、嫌いじゃないよって

osmn
…振ったってこと?
自分の中で噛み砕いて理解してみた。つまり、付き合うとかは無理。でも、嫌いじゃない…ってことは好き、やから…両想いってことなん?
あなた

そうじゃないけど、

osmn
そもそも、ゾムのことは好きなん?
あなた

き、嫌いでは…ないけど、

osmn
好き?
あなた

うーん…

osmn
愛してる?
畳みかけるように質問をする。
あなた

いや、それは、

osmn
男として、どうなん?
あなた

お、男としてって、

osmn
男として、ゾムのことどう思っとんの?
あなた

そりゃ、友達だと、

osmn
ゾムがいきなり手つないできたらどうする?
あなた

手?手は、

osmn
俺と手つなぐのと、どっちの方がドキドキする?
彼女の手に自分の手を乗せる。

プリ小説オーディオドラマ