学校を終え、晩ご飯の買い物をしたらつい遅くなってしまったた。
暗い帰り道を1人で帰るのは怖くないと言えば嘘になるが、仕方がない。
急にめまいが起こる。身体に力が入らなくなり、呼吸もままならなくなった。
ああ、この感覚は…。
こうなると長くはもたない。一刻も早く家に帰って血を飲まなければ。
ふいに後ろから知らない男の人の声がした。
派手な金色の髪に、大量のピアスがついている。
こんなときに絡まれるなんてついてない。
相手をしている余裕もないし、無視をして帰ろうとしたが、なかなか簡単には行きそうにない。
相手はナイフを取り出し、こちらに向けてきた。
ナイフを向けられている恐怖より、血を求める欲求が勝ってしまう。
もういっそのこと、そのナイフで私に傷をつけて今すぐに血を飲ませてくれとさえ思う。
そう言うと同時に、みぞおちを一発殴られた。息ができない。苦しい。
また、違う男性の声がした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!