うらたside
痛い。体中が痛い。
あの人に散々犯されたからかな。
こんなの日常茶飯事だけど、やっぱり痛い。
五年間、あの人としか話さなかった。
嫌気が差すこともあったけど。
でも...なんでかな?俺はあの人と何かしていると無意識のうちに微笑んでる。
俺、楽しんでるの?あの人と何かすることを?
俺は否定し続けた。あり得ないだろ?俺は彼を嫌いなはずなのに、彼に抱かれていると胸が高鳴るんだ。それに体が抵抗しない。
センラとやっててもこんなことなかったのに。
カチャ
数分後、風呂場からお湯の音が聞こえてきた。
何か...モヤモヤするな
そっと風呂場の前にたち、ドアに寄りかかる。
ここって、以外に広いんだなぁ。風呂場も広い。
俺はワイシャツを脱いで、半裸になる。
にしても、風呂場の前でこれはきつ...
鏡に写ったもう一人の自分をみて目を見開いた。
体中がキスマと噛み傷だらけ。
白かった肌も所々紫色になってる。
...やっぱり、彼の...せいでこうなったのか...?
それとも...俺がうまくできなくてこうなったのか?
気づくと、俺は鏡を割っていた。
その破片を自分の手首に押し当てる。
このまま...横にスライドさせるだけで良い。そうすれば俺は、こんな体みないですむんだ...
少しだけ横にスライドさせ、手首に切り傷ができたその時...
ガシッ
俺の腕を誰かがつかんだ。
大きな手。暖かいのになぜか冷たい手。
それがあの人のものだとわかるのにそんなに時間はいらなかった。
俺の体が大きな腕の中に入った。
俺の背中を、大きな手が支えている。
...あれ?
例えば...例えば...あれ?
目から涙がこぼれた。
誰もいない。親も、友達もいない。
彼だって、俺のことを本気で好いてくれてる訳じゃない。きっとただのセフレだ。
なら、俺は...何のために生まれてきたの?
また力強く俺を抱き締める彼。
あぁ。俺好きなんだ。彼のこと。好きなんだ。
俺が欲しかったのは、きっとこれだったんだ。
お金でも、友達でも、永遠の命でもない。
揺らぎない愛。
カラン...と俺の手からガラスが落ちた。
再び彼の腕に身を任せた。
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さかうらしか最近ないですね...
明日はせんしま書きますね!(←いやせんしまあるなんて初耳
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!