志麻side
ついた場所は、知らない部屋。
まぁ、センラさんの部屋だ。知らないのも当然だろう。
センラさんがキッチンに入っていった。
部屋を見渡すと、いろいろなものがおいてあった。
その中の一つに俺の目が止まった。
そっと立ち上がり、それを手に取る
手に取ったのは写真。
センラさんと、俺の知らない少年が笑顔で写っている。
良いなぁ。幸せだろうなぁ。
そんな気持ちが込み上げてくる。
センラの隣で笑っている彼を見て、少々羨ましく思う。
写真を凝視して考える。
どこかで見たことがある顔だ。
振り替えると、センラさんがたっていた。
そうだ。当時、俺はテレビを見せてもらえなかったから、新聞で情報を得ていた。
五年前の夏、夏祭りの帰りに誘拐された少年。
男の子なのに可愛らしい顔だな、と印象に残ってる。
よく見ると、センラさんの部屋には、渉くんに関する新聞の記事や、ニュースの録画、そして目撃者の証言など、いろいろな『浦田 渉』に関する情報がおいてあった。
センラさんの目から涙がこぼれる。
そんなに...してまで、彼を助けたいのか?
ピーンポーン
『はーい』
ガチャ
自分の名前。ちゃんと呼んでもらえるだけでもありがたいのに、呼び名もつけてもらった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。