第33話

もうひとつの秘密
37
2020/05/10 05:15
緑子
緑子
なんか恭平に話したら少し落ち着いた。

こんな話し誰にも話せないからずっと苦しかった。
緑子
緑子
ありがとね、恭平。
緑子は満面の笑みで言った。

緑子はまだ無理をしているのが分かった。
恭平
恭平
俺で良かったら。

話くらい聴くけど。
緑子
緑子
本当?嬉しい。

このタイミングて恭平が現れるなんて、なんだか運命を感じるね?
そう言うと緑子は身体を寄せてくる。
恭平
恭平
え?

りょ、緑子?
緑子
緑子
ねぇ、恭平。

もう一度私達、やり直さない?
恭平
恭平
え?え?!
緑子
緑子
な〜んて、嘘よ。

なに怯えてるのよ。

私はもう、ちひろを裏切れない。
恭平
恭平
え?

どう言う意味ですか?
ちひろを裏切る?

緑子とちひろの間に何が合ったんだ?
緑子
緑子
・・・。

この際だから打ち明けるわね。
俺は唾をゴクリと飲み込み、覚悟を決め話に耳を傾けた。
緑子
緑子
私ね、転校前ひどい虐めにあってたの。

だから、私はこの村に転校して来たの、この村に来てからもまた虐められるんじゃないかって不安だった。

そんな時最初に話し掛けてくれたのがちひろだった。
緑子
緑子
初対面の私にちひろは「この髪型可愛い」そう言ってくれたの。

私、両親以外から可愛いなんて1度も言われた事無かったから嬉しくて。

ちひろの事が好きになったの。
緑子
緑子
その後、恭平とも知り合って。

2人は本当に仲が良かった。
ううん、良かったなんてレベルじゃない、この2人は言葉が無くても意思疎通してる。

私はそんな2人に憧れてた。
私も2人の様に成りたい、そう思ってた。
緑子
緑子
それで、3人にでいる事が多くなり。

私はしだいに恭平に惹かれて行ったの。

そして、私はちひろから恭平を奪った。
恭平
恭平
え?奪った?
緑子
緑子
ねぇ恭平、高校の卒業式の日覚えてる?
恭平
恭平
ん?

ああ、緑子に告白された日だよな。
緑子
緑子
その日、本当はちひろに告白するつもりだったでしょ?
恭平
恭平
でも、来なかったんだ。
ちひろに振られたと思った。

え?

なんで知ってんだ?
緑子
緑子
私ね、恭平の所に向かう前にちひろに話したの。

私、恭平が好きだから、恭平に告白されたの。

て、嘘ついて。

私、ずるい女でしょ?
恭平
恭平
なんで、なんでそんな事。

ちひろは、ちひろはその後、どうしたんだ?
緑子
緑子
ちひろは「そっか、2人はお似合いだもんね」て、そう言って身を引いたの。

その後、ちひろは村を出ていってしまったの。
恭平
恭平
ちひろが村を出てったのはそれが原因なのか?
緑子
緑子
それだけじゃ無いと思うけど。

多少は関係してると思う。

あの子優しいから、私達の事気遣ったのよ。
どれもこれも衝撃的な内容だった。

なんで、こんな事したんだよ。

緑子に少し怒りを覚えた。

でも、これは全部俺が悪いんだ。

俺がもっと早く気づいていれば。

俺がもっと2人と向き合っていれば。

俺がもっと早くちひろに告白していれば。

少なくとも2人をここまで傷付けることは無かった。

全部、俺が悪いんだ。

俺がその事に気付いたのはもっとずっと後のことだったんだ。

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