私は待合室の椅子に座りスマホ握り締め恭平からの連絡を祈るように待っていた。
昨夜の(終わったら連絡する)から連絡が来ない。
恭平のスマホに繰り返し連絡しても繋がらない。
LINEのメッセージも返って来ない。
念の為実家にも連絡した。
昨日仕事に行ったきり戻ってないらしい。
後、残るは緑子さんの所だけ。
でも、怖くて聞けない。
緑子さんに連絡して、恭平ならここに居るよと、言われたら。
私の中の大切な物が壊れてしまう。
もう、二度と立ち直れない。
私は待つことしか出来ない。
時刻は既に正午を過ぎていた。
こんなに長い時間、連絡もなしに待たされるのは初めてだ。
恭平は私の事、嫌いになったのかな?
それともどこかで事故にでも会ったのかな?
それとも緑子さんと・・・。
私、何か怒らせる様な事したのかな?
色んな想いが頭の中をぐるぐると周り私の心を締め付ける。
苦しいよ、悲しいよ、寂しいよ恭平。
私が嫌いならそれでも良いから、お願いだから連絡して。
スマホの画面にポタポタと涙が落ちる。
すると、私の心を写すかの様にしとしとと雨が降り出した。
俺は走り続けた。
しとしとと雨が降る中やっと駅に辿り着いた。
ちひろがいつも居るホームの先端には居なかった。
ホームに入り周りを見るがちひろ姿は見当たらない。
俺は少しほっとした。
俺は帰ろとしたが念の為、待合室を除く、そこにちひろは居た。
俺は待合室の扉そっと開けちひろの横に座った。
ちひろは隣で小さな寝息をたてていた。
つい先程まで泣いていたのだろう、一雫の涙が頬を伝いポツリと落ちた。
きょう、へいと寝言を言った。
ちひろは今、どんな夢を見てるのだろう?
ごめんなちひろ、俺が不甲斐ないばかりでいつも辛い想いさせて。
俺はちひろの肩に腕を通し抱き寄せた。
肩にかかる温もりと小さな寝息を聴きながら疲れていた俺は眠りに着いた。
私は違和感を感じ目を覚ました
いつの間にか眠って居たらしい。
私の肩に温もりを感じ隣からは寝息が聞こえて来る。
隣を見て、ビックリして立ち上がった。
私に寄りかかっていた恭平はそのまま横に倒れ込みベンチに、ゴンと、頭をぶつけた。
恭平はぶつけた頭を手で抑えている姿に思わず吹き出した。
恭平の笑顔と声を聞いた私は安心したのかじわりと涙が滲んだ。
私は恭平の胸に抱き着いて叫んだ。
恭平は私を強く抱き締めて何度も謝った。
私は暫く恭平の胸に顔を埋め泣いた。
微かに香水の匂いがする。
これは緑子さんの匂いだ。
やっぱり緑子さんと一緒だったんだね。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。