私はタオルケットを頭まで被り、枕に顔をうずめ泣いた。
恭平はいつも消極的で、デートの誘いもいつも私から。
そんな恭平から温泉旅行の話しを聞いた時は飛び跳ねる程嬉しかった。
結局、駄目になったけど、そんなのは大した事ないの。
ただ少しでも恭平と一緒に居たいの、恭平と繋がっていたいの。
言葉だけじゃ愛は伝わらないよ。
行動でちゃんと示してよ。
私は恭平の彼女だよね?
私の事、好きなんだよね?
なんで緑子さんには出来て私には出来ないの?
好きだから抱けないなんて。
意味分かんないよ恭平。
ねぇ、教えてよ。
なんでよ、なんでよ。
私は何度も何度も声を殺し叫んだ。
誰にも届かない声を叫んだ・・・。
もう私達、駄目なのかな?
気が付くと朝になっていた。
泣き疲れていつの間にか眠っていた様だ。
枕は私の涙で濡れている。
私は身体を起こし、恭平を見るとまだソファの上で眠っている。
私はベットから降り恭平に近づき顔を覗き込む。
恭平のおでこにキスをした。
恭平は寝言を言った。
私が恭平に顔を近ずけると、恭平が突然目を開けた。
恭平は私の肩を抱き寄せた。
私が言い終わる前にキスをして来た。
とっても優しいキスだった。
そう言うと恭平はおでこに、瞼に、耳に、首筋にキスをして来た。
優しい愛撫に思わず吐息が漏れる。
恭平は再び唇にキスをする。
暫く見つめ合い、唇にキスをする。
そして、瞼に、首筋に、耳にキスをした。
とっても優しくてどこか切ない、そんなキスだった。
恭平は私の服を脱がし始めた。
下着姿が露になり私は恥ずかしくて思わず両腕で胸を隠す。
恭平は私の後ろに回り耳にキスをする。
思わず声が出てしまった。
更に恭平は私のうなじと背中にキスをしブラのフックを外し、再び背中にキスをした。
そのまま下にさがり私のショーツを脱がしおしりにキスをした。
恭平は立ち上がり私の前に回る。
私は恥ずかしさの余り俯いていると、顎を指で上げキスをして来た。
声を発した瞬間、恭平は舌を入れて来た。
私はそのままベットに押し倒された。
私は恭平が好きだ。
改めてそう思った。
もっと恭平を感じていたい。
もっと恭平の心に触れたい。
もっと身体を絡めれば心に触れられるのかな?
もっと恭平を知りたい。
恭平とひとつになりたい。
この日、私達は夕方までホテルで過ごした。
私達は食事を済ませ帰路に就いた。
この日から恭平は変わってしまった。
私に対して必要以上に優しくなり、誕生日でもないのに贈り物を呉れたり、デートのお誘いも多くなった。
恭平は何か無理をしている様で私は悲しかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!