俺は家に着くと自分の部屋に入り机に座った。
緑子の件もあるけど、今は考えるのは止めよう。
俺は旅行雑誌を取り出し付箋を貼ってある場所を開いた。
実はちひろに内緒で温泉旅行を企画していたのだ。
だがちひろから温泉の話が出るとは思わなかった。
マジで焦ったよ。
まぁ、内緒では無くなってしまったけど別に変わりはしないだろ。
きっと喜ぶに違いない。
後は休みが取れるかどうかだけど?
明日、課長に話してみるか。
俺はベットに寝転びスマホを取り出した。
今日、撮ったちひろとの写真を眺め微笑んだ。
今日のちひろはいつになく可愛かったな。
映画を見ながら涙を流すちひろ横顔。
涙を浮かべ微笑むちひろ。
顔を真っ赤にして照れ笑いするちひろ。
怒ってるちひろ。
今日、1日で沢山のちひろを見れた。
これからも沢山のちひろが見れるんだろうな。
俺はちひろの笑顔を守りたい。
ちひろの笑顔を隣でずっと見ていきたい。
そんな気恥しい決意を胸にこの日はこのまま眠りについた。
翌朝、俺はちひろに今日は早めに行ってるから待ち合わせしなくて良いぞとLINEをして早めに家を出た。
理由は早めに休み許可を取ってちひろに報告したいからだ。
役場に着くと直ぐに課長のデスクに向かうつもりだったが既に緑子が出社していた。
俺は昨日のことを問い質そうか悩んでいた。
俺は結局どう切り出して良いか分からず話すことが出来なかった。
緑子の事はまた今度話そう。
俺はとにかく課長の元へ行った。
7月後半はこの村、最大のイベントで夏祭りがある。
この夏祭りは花火大会も兼ねていて大掛かりなイベントだ。
その為、来月はかなり忙しくなる。
俺は頭を下げた。
そこに緑子が話に割って入って来た。
緑子は課長に歩み寄り課長のネクタイを引っ張った。
いやいや、緑子それを言っちゃ身も蓋もない。
今日の緑子はいつになく機嫌悪いな。
昨日あの男と何かあったのかな?
課長の事はさて置き無事に休みも取れたし、仕事頑張るぞ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。