第29話

温泉に行こう
58
2020/05/08 05:26
俺は家に着くと自分の部屋に入り机に座った。

緑子の件もあるけど、今は考えるのは止めよう。


俺は旅行雑誌を取り出し付箋を貼ってある場所を開いた。
実はちひろに内緒で温泉旅行を企画していたのだ。

だがちひろから温泉の話が出るとは思わなかった。
マジで焦ったよ。

まぁ、内緒では無くなってしまったけど別に変わりはしないだろ。

きっと喜ぶに違いない。

後は休みが取れるかどうかだけど?
明日、課長に話してみるか。

俺はベットに寝転びスマホを取り出した。
今日、撮ったちひろとの写真を眺め微笑んだ。


今日のちひろはいつになく可愛かったな。


映画を見ながら涙を流すちひろ横顔。
涙を浮かべ微笑むちひろ。

顔を真っ赤にして照れ笑いするちひろ。
怒ってるちひろ。

今日、1日で沢山のちひろを見れた。

これからも沢山のちひろが見れるんだろうな。


俺はちひろの笑顔を守りたい。
ちひろの笑顔を隣でずっと見ていきたい。

そんな気恥しい決意を胸にこの日はこのまま眠りについた。

翌朝、俺はちひろに今日は早めに行ってるから待ち合わせしなくて良いぞとLINEをして早めに家を出た。


理由は早めに休み許可を取ってちひろに報告したいからだ。



役場に着くと直ぐに課長のデスクに向かうつもりだったが既に緑子が出社していた。

緑子
緑子
おはよう。

今日は早いわね。
ちひろちゃんと一緒じゃないの?
恭平
恭平
おはよう、緑子。

ああ、今日はちょっと用があって。

緑子、その、昨日の事なんだけど。
俺は昨日のことを問い質そうか悩んでいた。
緑子
緑子
なに?

恭平、昨日がどうかしたの?
恭平
恭平
いいえ、何でもないです。
緑子
緑子
そう。
俺は結局どう切り出して良いか分からず話すことが出来なかった。

緑子の事はまた今度話そう。

俺はとにかく課長の元へ行った。
恭平
恭平
あの課長。
課長
課長
な、なんだい土屋。

(こ、今度は何を企んでいる)
恭平
恭平
来月の月曜なんですけど、休みたいな〜と思いまして。
課長
課長
何だと〜。

恭平来月は無理だぞ。

7月後半は夏祭りだろ。
来月から忙しくなるんだよ。
7月後半はこの村、最大のイベントで夏祭りがある。


この夏祭りは花火大会も兼ねていて大掛かりなイベントだ。


その為、来月はかなり忙しくなる。
恭平
恭平
そこを何とか。
俺は頭を下げた。
課長
課長
駄目、駄目。

忙しいんだから。
そこに緑子が話に割って入って来た。
緑子
緑子
ちょっと別に良いじゃない。

1日くらい。

休ませて挙げなさいよ。
課長
課長
で、でもね。

本当に忙しくなるんだよ。
緑子は課長に歩み寄り課長のネクタイを引っ張った。
課長
課長
ぐぉ、く、苦しい。

た、滝本くんい、いったいどうしたのかな?
緑子
緑子
何、こんな時だけ上司ぶってんのよ。

普段は居るか居ないか分からないくせに。
いやいや、緑子それを言っちゃ身も蓋もない。

今日の緑子はいつになく機嫌悪いな。

昨日あの男と何かあったのかな?


課長
課長
わ、分かったから。

離してくれるかな?

(もう本当にいや、何なのこの扱い)

(私は君たちの上司なの上司の意味わかるかな)

(もうこれはあれだよパワハラだよ)

(もうやってられないよ)


課長
課長
訴えてやる。
ちひろ
ちひろ
はぁ〜?
緑子
緑子
何ですって!!
恭平
恭平
ウゼェ。
課長
課長
はい、ゴメンなさい。

間違ってました。

すいません。
恭平
恭平
ちひろ?

いつ来たんだよ。
ちひろ
ちひろ
今来たの。

所で何の話ししてたの?
緑子
緑子
話の内容知らないで応えたの?
ちひろ
ちひろ
何か乗りで。
課長
課長
(来たよ、この3人のラスボス)

(こんなに可愛いのにしれぇ〜と、悪魔みたいなこと言い出すからね)

(この子は本当に怖いよ)
恭平
恭平
あはは。

さすがちひろ。
ちひろ
ちひろ
恭平、何の話ししてたの?
恭平
恭平
ああ、昼休みに話すよ。

大事な話があるんだ。
ちひろ
ちひろ
ふ〜ん。

緑子さん何の話ししてたの?
緑子
緑子
大した事ないわよ。

後は恭平に聴いてね。
ちひろ
ちひろ
えっと、課長はいいや。
課長
課長
・・・

(やっぱり無視か〜い、度重なる嫌がらせ)

(この子は課長の座を狙っているに違いない)

(私を追い出そうと企んでいるな)
課長
課長
私は辞めないぞ〜。
ちひろ
ちひろ
・・・。
緑子
緑子
・・・。
恭平
恭平
・・・。
課長
課長
あ、あの、みんな何か応えて。

毎回恒例だからね。
課長の事はさて置き無事に休みも取れたし、仕事頑張るぞ。

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