俺達は車を10分程走らせ山の頂上を目指す。
そこは見晴らしのいい展望台になっており村が一望出来る場所になっている。
〜一方役場、昼休み〜
私は弁当を手に何時ものベンチに向かった。
恭平はまだ戻って来ない。
正直、恭平の為に作った物を他の人が口にするのは少し気が引ける。
けど残すのは勿体ないから仕方ない。
私達は黙ったまま黙々と弁当を食べた。
私は今まで押し殺していた思いを緑子さんにぶつけた。
あの日以来、私達の仲はギクシャクしている。
それもこれも全部緑子さんの所為だ。
緑子さんが恭平を誑かさなければこんな事にはならなかった。
そう考えると悔しくて涙が溢れてきた。
私は一気に捲し立て肩で息をした。
緑子さんも私の最後の言葉で表情が変わった。
「パンッ」と音と共に頬に痛みが走った。
緑子さんに平手打ちをされたのだ。
私は頬に手を当て俯いた。
私は走り出した。
私は恭平を探した。
恭平なら私を必要としてくれる。
ねぇ、恭平何処にいるの?
恭平、会いたいよ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。