俺は声のする方を見るとそこには緑子さんがいた。
現れるや否やいきなり怒鳴りつけて来る緑子さん。
よく見ると緑子さんの手に手紙が握られている。
緑子さんの所にもちひろの手紙が来ていたんだ。
俺は自然と駅へと走り出していた。
小さい頃からちひろの事が好きだった、けど告白する勇気がなくてこんな俺なんか相手にされないと勝手に決め付けてた。
それでも良かった、ちひろがそばに居てくれたから。
例え他の誰かと付き合っても、他の誰かと結婚しても、この村に居ればちひろに会える、ちひろの笑顔が見れる。
そう思えたから、でも高校卒業と同時にちひろは村を出て行ってしまった。
あの時に思った筈なのにあんな想いは二度としたくないと思った筈なのに。
なのに俺は、俺は何を迷っていたんだ。
駅が視界に入って来た。
既に電車が止まっている。
ホームに入ると同時に俺は叫んだ。
叫ぶと同時に発車ベルが鳴り扉が閉まる。
間に合わなかった、そう思った時窓が開きちひろが顔を出した。
電車が少しづつ動き出した。
ちひろは笑顔で応えて手を振り続けている。
俺も手を振り返していると俺の隣を走り去る2人組の姿が見えた。
Kamikamiさんが俺の格好を見てそう言い出した。
しまった寝巻きのまま飛び出して来てしまった。
俺が訪ねるどKamikamiさんと神神さんは顔を見合わせ俺に話しかけた。
俺が言い終わる前にKamikamiさんが話しかけてきた。
Kamikamiさんの言っていることが分からない。
ちひろは一体どこに行ったんだ。
覚悟?
覚悟ってなんだよ。
ちひろにただ会いたいだけなのに。
それでもちひろに会いたい。
俺はちひろが好きだ。
でも、どうしたらいい。
俺は拳を握り締め俯いた。
例の話?
Kamikamiさんと仕事の話。
俺は深々と頭を下げ頼んだ。
Kamikamiさんは背を向けたまま話した。
こうして俺達の長いようで短い夏が終わりを迎えた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。