私が話し掛けようとした時に恭平が部屋に飛び込んで来た。
緑子さんは優しく微笑んでいる。
私と恭平は顔を見合わせた。
恭平はガッツポーズを取り歓喜の雄叫びを挙げている。
緑子さんはニコニコと微笑んでいる。
そして再び恭平は雄叫びをあげる。
私は恭平の頭を「ペシッ」と叩いた。
そう言い緑子さんは食器棚から食器を取り出し始めた。
私は緑子さんの方へ歩み寄った。
緑子さんは恭平に食器棚の方を指さした。
すると恭平は何かブツブツ言いながら私の方へ歩み寄って来る。
恭平は深深と頭を下げ手を伸ばした。
やっぱり緑子さんは大人だな。
いや、恭平がアホなだけか。
でも、私、まだドキドキしてる。
私、まだ恭平のことが、好き、なのかな?
でも、私には優也が・・・。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!