そう言うと緑子は服を脱ぎ始めた。
更に下着も脱ぎ捨て裸体が顕になる。
久しぶりに見る緑子の身体はとても綺麗だ。
形のいいバストに引き締まったウエスト透き通る様な白い肌。
濡れた髪をタオルで拭く姿、時折見せる瞳を伏せ憂い顔になる仕草に思わず抱き締めたくなる。
お、お、落ち着け俺、耐えるんだ俺、理性が飛びそうになる。
ヤバい、落ち着け俺、俺にはちひろがいるだろ。
て、俺何言ってんだよ。
そう言うと緑子は着替えを終えベットに座る。
俺も着替えを終えた。
俺はポケットからピアスを取り出した。
俺はさっきの光景を思い出した、あれはそう言う事だったのか。
俺はショッピングモールで見掛けた、あの若い男性を思い出していた。
やっぱりそうだったんだ。
そう言うと緑子は目を伏せた。
マジですか〜、全然気付かなかった。
緑子はポロポロと涙を流し始めた。
緑子は肩を震わせて泣き出した。
そんな事があったのか。
俺は何も気付けなかった。
俺と別れた本当の理由も分かった。
俺の事、好きでも何でも無かった訳じゃないんだな。
でも、もう遅すぎた。
もっと早く気づいていれば何が変わっていたのかも知れない。
でも、それはちひろとの今の幸せを断つ事になる。
ふたつにひとつ、どちらかを選ばないと行けない。
こんな苦しみを緑子は1人で抱えていたんだな。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。