俺はどれ程泣いていたのだろう?
分からないが少し落ち着き部屋を出るとそこにちひろが立っていた。
ちひろは小さく頷く。
全部聞かれたのか、何だか急に恥ずかしくなって来た。
ちひろの顔をよくを見ると頬には涙の後がある。
瞳は今も涙か貯まっている。
俺は恥ずかしくなり誤魔化した。
ありがとうなちひろ。
俺と一緒に泣いてたんだな。
ありがとうなちひろ。
おかげで大分楽になっよ。
いつものちひろは喧嘩腰で話しかけて来るのに今日のちひろは大人しい。
俺は思わず笑った。
ちひろやっぱり良い奴だよな。
~数分前~
私は2人にただ事では無い雰囲気を感じ密かに後をつけた。
資料室の前に来ると私は扉の横にある壁にもたれ掛かり2人の話しを聞いた。
別れ話だった。
やっぱりか、二人の関係はおかしな所があった。
何となく予想は出来てたけどね。
扉が「ガチャ」と音がなり緑子さんが出てきた。
私は隠れようとするも、隠れる場所はなく、咄嗟にくるりと向きを変え顔を壁に向けた。
いやいや、全然隠れてないから。
いや〜、何とも酷い言い訳だ。
もう、恥ずかしい。
私は開き直り緑子さんを睨んだ。
私は知ってる。
緑子さんの寂しいそうな顔。
本当に恭平の事が嫌いならあんな風に悩んだりしない。
私は力ずよく応えた。
本来なら躊躇してしまうのに何故かこの時はすんなりと応えた。
緑子さんの口から本音が聞きたい。
緑子さんとはこれからも親友でいたいから。
緑子さんはそう言い私に背を向け歩き出した。
緑子さんは私に背を向けたまま答えて去って行った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!