第24話

始まり
22
2020/05/04 22:12
俺はどれ程泣いていたのだろう?

分からないが少し落ち着き部屋を出るとそこにちひろが立っていた。
恭平
恭平
ち、ちひろ?

何でお前此処に居るんだよ。
ちひろ
ちひろ
えへ。

2人が心配だったから付いて来ちゃった。
恭平
恭平
付いてきたって!

じゃ、今の話し全部聞いてたのか?
ちひろ
ちひろ
うん。

全部聞いてた。
ちひろは小さく頷く。

全部聞かれたのか、何だか急に恥ずかしくなって来た。



ちひろの顔をよくを見ると頬には涙の後がある。
瞳は今も涙か貯まっている。
恭平
恭平
ちひろお前、泣いてたのか?
ちひろ
ちひろ
うん。

恭平が泣いてたから。
貰い泣きしちゃった。
恭平
恭平
お、俺は泣いてないぞ。

あ、あれはだな。

そう、発声練習だ。
俺は恥ずかしくなり誤魔化した。

ありがとうなちひろ。
俺と一緒に泣いてたんだな。


ありがとうなちひろ。
おかげで大分楽になっよ。
ちひろ
ちひろ
ふふ。

どんな発声練習だよ。
恭平
恭平
だな。
ちひろ
ちひろ
振られちゃったね。
恭平
恭平
ああ、見事に振られたわ。
ちひろ
ちひろ
慰めて欲しい?
恭平
恭平
アホ。
ちひろ
ちひろ
じゃあ、どうして欲しい?
恭平
恭平
別にどうもして欲しくねぇよ。

何時ものちひろならそれで良い。

ありがとなちひろ。
ちひろ
ちひろ
じゃあ。

何時ものちひろでいる。
恭平
恭平
今はらしくねぇよ。
いつものちひろは喧嘩腰で話しかけて来るのに今日のちひろは大人しい。
ちひろ
ちひろ
知らなかったのか、恭平。

これが本当のちひろだぞ。

可愛いだろ。
恭平
恭平
あはは。

何時ものちひろだ。

ああ、可愛い。
俺は思わず笑った。

ちひろやっぱり良い奴だよな。
ちひろ
ちひろ
ふふ。

ありがとう。
恭平
恭平
なぁ、ちひろ。
ちひろ
ちひろ
ん?
恭平
恭平
俺たちを付けてきたって事は先に出た緑子と会ってるよな。
ちひろ
ちひろ
うん。

会ってるよ。
恭平
恭平
何か言ってなかったか?
ちひろ
ちひろ
うん。

何か言ってた。

気になる?
恭平
恭平
ああ、気になると言えば気になる。
ちひろ
ちひろ
知りたい?
恭平
恭平
知りたいって言ったら教えてくれるのか?
ちひろ
ちひろ
う〜ん、今は教えない。

恭平、まだ緑子さんに未練たらたらだから。
恭平
恭平
当たり前だろ。

そんなに簡単に切り替えられねぇよ。
ちひろ
ちひろ
じゃあ、教えない。

教えたら・・・。

私が泣いちゃう。
恭平
恭平
何だよそれ。
~数分前~

私は2人にただ事では無い雰囲気を感じ密かに後をつけた。


資料室の前に来ると私は扉の横にある壁にもたれ掛かり2人の話しを聞いた。


別れ話だった。


やっぱりか、二人の関係はおかしな所があった。

何となく予想は出来てたけどね。



扉が「ガチャ」と音がなり緑子さんが出てきた。

私は隠れようとするも、隠れる場所はなく、咄嗟にくるりと向きを変え顔を壁に向けた。

いやいや、全然隠れてないから。

緑子
緑子
ち、ちひろちゃん?!

何してるの?

ちひろ
ちひろ
いや〜、なんか壁が汚れてるな〜、て思って〜。
いや〜、何とも酷い言い訳だ。

もう、恥ずかしい。

緑子
緑子
ふふ。

下手な言い訳ね。

私達の後を付けてきたのね。
私は開き直り緑子さんを睨んだ。
ちひろ
ちひろ
はい。
緑子
緑子
会話も聞いてたのね。
ちひろ
ちひろ
はい。
緑子
緑子
そんなに怖い顔しないで。
ちひろ
ちひろ
本当に良いんですか?
緑子
緑子
ええ、恭平には愛想尽きたから。

もう未練は無いわ。
ちひろ
ちひろ
うそ、緑子さんは嘘をついてます。
私は知ってる。

緑子さんの寂しいそうな顔。

本当に恭平の事が嫌いならあんな風に悩んだりしない。
緑子
緑子
私が嘘ついてる?

ならちひろはどうなの?

(やっぱりちひろは鋭いわね恭平とは違う)

(私を見る真っ直ぐな瞳、ちひろ本気なのね)
ちひろ
ちひろ
私は好きです。

恭平のこと。
私は力ずよく応えた。

本来なら躊躇してしまうのに何故かこの時はすんなりと応えた。

緑子さんの口から本音が聞きたい。

緑子さんとはこれからも親友でいたいから。
緑子
緑子
そう、ならいいんじゃない。

恭平のことよろしくね。
緑子さんはそう言い私に背を向け歩き出した。
ちひろ
ちひろ
待って!!

私の問に答えてないです。

私は正直に答えました。

答えないのは卑怯です。
緑子
緑子
・・・好きよ。

(やっぱりちひろには曖昧な答で逃げられないか)

(私がここまで追い込まれるなんてね)

(あの頃とはかなり違う、強くなったわね)

ちひろ
ちひろ
ならどうして?
緑子
緑子
無理なの。

恭平と居ると悲しくなるから。

好きだけどもう無理。
ちひろ
ちひろ
・・・緑子さん。
緑子
緑子
恭平のことよろしくね。
緑子さんは私に背を向けたまま答えて去って行った。

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