第45話

口を塞いだのに
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2021/04/16 16:50
清「俺は…耳が遠くて話聞こえなかった」




小「は?」

三「ちょ、ここでは笑えんから言わんで笑」


慶「だってよ笑 だからいいじゃん?何かあった時にはきよはるも入れて4人道連れだから」



清「市川くん、俺聞こえてないから!何も知らんよ」


慶「はいはい、明日早いんだからもう終わり!寝かせてよ」


強引に部屋から追い出される


きよはさっさと部屋に戻る






小「言ったね…」

三「モヤモヤが消えた…ホッとした」


小「市川くんの優しさマジ神…」

三「きよちゃんだって」



その言葉にもう1つの仕事を思い出す



小「みなとごめん、僕言うから」

僕は急いできよの部屋に向かう





小「きよ、いい?」

きよは振り返って僕を見るけど何も言ってくれない




小「話がある」


清「…言わんでいいから」

ゆっくりとこちらに歩いてくる




小「っ…聞いて欲しい、言わなきゃいけない事があるか…んっ!」



突然きよの手で口を塞がれる
押された勢いで壁にぶつかる




清「絶対言うな」

きよの顔が間近に迫って、声は静かなのに鬼迫が感じられて怖くなった



きよは僕の口を塞いだまま下を向き

清「頼むから何も言わんで」




どういうこと?


市川くんが言ったように、きよは何か知ってるの?


…知ってるってことかな


説明させてくれないの?

酔ってても許さないってこと?






清「何も…何も言わんで。一言も」




沈黙が続く




清「分かった?」



…頷くしかない




確認するときよは手を下ろし、僕の口は自由になった



でも、ごめんなさい、も大好き、もここでは言えない




何も言えないから黙っていると



清「明日は大阪やで。最後、頑張ろうな」

いつもの口調で笑う



話題が変わったのだから喋ってもいい

分かっているけど、頷くことしか出来なかった


黙って部屋を出てドアを閉める時に


清「明日は元気な声聞かせろよ」




小「…うん、明日ね」

ようやく声を出すことができた













三「あ、きよちゃん今お風呂?」

清「うん、もう寝んとな」



三「きよちゃん、ごめんね」

清「もうええて笑」



三「…そうじゃなくて、こたのこと。酒のせいでキスしちゃっただけで、それ以上の事はホントにないよ?俺居たから絶対そうやから、許してあげてな」



清「…うん、おやすみ」





俺は脱衣場に入ると床に座り込んだ


みなと…こたに言わせないようにしたのにお前があっさり言うんやな





良かった…もっと何かしてんやないかと思った




こたの考えてること、俺の知らんとこでしてることが分からなくて



内心毎日穏やかじゃなかったから、力が抜けるほど安心した



先に頂かれてたらさすがに立ち直れそうにない





『チャンスがありそうなので僕も頑張ります』


LINEのメッセージを思い出す




…あいつ思わせぶりな事したんかな



安心したら急に嫉妬心が湧いてきた




…大体ちょっと酒に酔ったからってキスするなんてありえへん!

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