小「夕!?」
思わず声が出る
市川くんが夕にみなとの事を聞いてるって事は一緒に居たって事?
…みなとは夕に会いに行ってたの?
それって…絶対昨日の写真の事だよね?
まさか、僕の代わりに話をしに行ってたの?
それで…線路に?
市川くんが電話を切るとすぐに確認する
慶「市川くんっ!みなとは夕と一緒だったの?」
慶「うん、言わなかった?」
「それより、みなと…怪我してないって!」
小「え、怪我して…ない?元気なの!?」
清「良かったー!…焦ったー」
慶「足の悪いおばあさんを助けようと踏切下りた線路に入ったんだって。ちゃんと助けたみたいなんだけど、みなと、その場で気絶しちゃったらしい。野次馬が轢かれたと勘違いしたのかもね」
小「気絶…」
どういうこと?
飛び込んだんじゃないの!?
僕はみなとの顔を見るまで本当に元気なのか不安だった
タクシーが病院前に到着すると
清「あ、みなと外におるやん!」
小「みなと!?どこ!どこ!」
きよを押しのけるようにタクシーを飛び出してロータリーのベンチに座るみなと目がけて走る
小「みなとーー!」
三「ちょ、苦しいて!」
抱きついた僕の腕にみなとの手が触れる
生きてる!
みなとだ!
小「みなと、みなと!僕のせいで自殺したのかと思った!本当に心配したーー」
また涙が出てしまう
三「こた…何言ってんの、そんなん言うたら夕も驚くで」
あ、そうだ…
隣に夕も居るんだった
気まずくて涙を拭いながら下を向いてると
三「さっき病院で話したんやけど…俺に怒られに来た、って言うたで、夕」
小「え…?」
初めてちゃんと夕の顔を見る
夕「ごめんなさい。色々ずるい事してるの分かってたけど、今ならチャンスかも、って思ってしまって」
小「や、でも悪いの僕だから。いい加減な事して本当にごめん」
夕「みなとくんから連絡きた時、絶対怒られるって分かってたけど、怒られないと止まれなかったから…会いに行ったんです」
三「待ち合わせたのに俺おらんくてごめんな笑」
夕「いや、本当に焦りました。あっちで何か人だかり出来てんなーって思ってたらみなとくん倒れてて。元気だったから言えるけど、ホント死んでるかと思って…」
「僕も…僕のせいでって思っちゃったんで」
三「生きてるから!2人とも心配せんで!」
三「ところで、こた?」
小「なに?」
三「あの2人、あそこでわざと待ってるみたいやけど、何か言ったん?」
小「え?」
そういえば2人がいない
自分の事に夢中で気にしてなかったけど…
後ろを振り返るとタクシー降りた場所でこっちを見てる市川くんときよの姿
小「…みなとが線路に飛び込んだ、って聞いて自分のせいで責任感じて自殺したんじゃないかと思って…」
「理由は言ってないけど、自分のせいだ、って言ったから何かあったのはバレてると思う…ごめんー…」
三「どうしよか?」
夕「すみません、僕も謝ります」
三「待って、ちょっと2人で考えたい。こた、ええやんな?」
小「うん」
僕はみなとと歩き出す、2人の元へ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!