前の話
一覧へ
次の話

第90話

それぞれの『好き』
4,866
2021/05/12 14:19
翌日のけいみな


三「市川くん、さっちゃんが…」

みなとがスマホを見せる


な、なに?
昨日の今日だから心配なんだけど…


三「ほら、市川くんのツイートに『おはよ』って」

慶「あぁ。あいつ気を遣って…」

三「認めてくれたってことかなぁ?」


俺はみなとを抱きしめる

慶「ありがたいよね…」

三「市川くん、返信しなよ」


慶「…2人の時に市川くんは遠いな」

三「ずっと市川くんやもん、照れるわ」

慶「だーめ!名前でちゃんと呼べって」

三「慶ぴょん」

慶「ふざけんな、却下」


三「慶…くん」

真っ赤になって下向いてニヤニヤ笑うみなと

可愛いなぁ
俺と何もない頃に、さつきの白い肌や小さな手、低い背が羨ましいとお前は言ってたけど


ワンワンうるさくて、上目遣いが得意で、俺に真っ直ぐな熱い目を送って大胆なことするくせに、意外と照れ屋って分かって、そんなみなとが大好きだったりする


俺は後ろからみなとを抱きしめる


慶「みなと、好きだよ」





翌日のりょがさつ


目を覚ますと隣にさっちゃんが寝てる

…昨日は一緒にお酒を飲んだ

さっちゃんは1人で少しインライしたけど、インライの前にも、終わった後にもお酒飲んだ

やっぱり何だかんだ言っても辛いよね…


酔っ払って動けないさっちゃんに俺のベッドを貸しただけで


何もしないから!なんて必死に言ったけど


さっちゃんはもう夢の中だった


滑稽だ


…起きたら何も覚えてなくて驚くかな?

俺に何かされたと思うかも?

先にベッドから出ておいた方がいいかも…


さ「おはよ…」

涼「え、あ、起きたんだっ」

起きちゃったよー!何て言おう

1人で焦っていると


さ「りょうが、ありがと」

さっちゃんが笑顔で俺を見つめる



涼「あ、うん」

何かあった訳じゃないけど、何となく昨日までの俺たちと違う気がするのは気のせいなのか



さ「居心地いいから、たまにここで寝ようかな」



涼「!!」
「…そんなの好きになっちゃうじゃん」


さ「好きって言ってくれてたのに、まだ好きじゃなかったの?笑」


涼「…一緒にいたら、さっちゃん俺のこと好きになっちゃうよ」


さ「あ、そういう意味?」


俺はさっちゃんの手を握る


さ「え?何もしないって言ってたじゃん笑」


あ、覚えてるんだ


涼「それは昨日の話、今日は違うよ」


さっちゃんの顔と首元が真っ赤になる



涼「嫌がることはしないよ、好きになって欲しいだけ」



さ「…意外とグイグイくるんだね」


涼「そりゃあ、ずっと好きだったからね」






翌日のきよこた


小「ねえ、痛いんだけど」

清「それはお前が自分で頑張ったからやろ」


小「はぁ!?痛いって言ってんじゃん!」

こたはデリカシーがないだの、優しくしてよ!と喚く


清「はいはい、何したいん?」

小「水買ってきて。あとチキンも食べたい」

清「起きたてでチキン食うん?」

小「早くぅーお腹空いた!」


ため息をついて部屋を出る

でも、嫌やからため息ついた訳やない

ワガママやなぁ、って思ったけど、それも愛おしいと思っている自分が怖い…

大体、俺が好きなようにこたを乱れさせたんだから、優しくしようという気持ちはある


なかなか素直になれず、特に翌朝は変に照れてしまうだけ



買い物を終えて部屋に戻っても布団から出てこないこた

清「ほら、冷めんうちに食べや」

小「きよ、起こしてよ」


こたが両手を出すのでに俺も近寄って両手を出すが

こたの手は俺の手を通り過ぎ
首に絡みついて強引に引き寄せられる


ちゅっ




小「大好き!」


そのまま俺ごと布団に逆戻り



清「起きろや」

小「きよから聞いてないもん」



清「好きに決まってるやろ」


明るい室内でこれ以上は言えない…


代わりに首元にちゅっとキスをする


--------------

フォローして下さってる方には通知が届いていると思いますが、新しい作品『【きよこた】恋はしません』をアップしました

プリ小説オーディオドラマ