今となってはTシャツの話なんて可愛い
Q『なんで買ったんですかー?』
A 推しのTシャツ買うように言われたから
夕はあの日の出来事を僕にほのめかしたくて、Tシャツ着た僕を載せただけだと思う
あの写真見た時
この後僕たちキスしたよね?
って見えない言葉が頭に響いたもん
もう大阪公演が迫ってる、集中しなきゃ…
きよの育った場所に行けるのはいつも楽しみで仕方ない
きよママに遊びに来てね、って言われたからいつか『友達』としてでいいから行きたい
だけどまだ心の日常が取り戻せてないから、楽しいことを考える余裕がない
三「あんたら何してんの笑」
トイレから部屋に戻ろうと階段に足をかけた時、後からみなとに話しかけられた
小「なにが?」
三「これ」
SNSでのきよとのやり取りだ
小声でみなとに言う
小「自分の行動一つ一つがおかしくないか、普段だったらどうするか…そればっかり考えてるんだけど、やり取りおかしかった?」
三「あんたらの中では正解なんかな?斜め棒は草生えるけど、こたろうくんも何か気持ち悪い笑」
小「うっさいわ笑 これが僕たちの普通なの」
三「…きよちゃんと一緒に出掛けなかったんやな?」
小「…いつもなら誘ってると思うんだけど、頭がいっぱいいっぱいで予約の時に忘れてたんだよね」
「いつも通りって簡単な気がするけど、絶対にバレたくない事があると変なとこ気になって大事な事が抜けちゃう…」
三「こたは顔に出やすいから心配や」
小「大丈夫…」
三「…大阪、地元やから頑張りたいねん」
「でも黙っててバレたらほんまヤバいやろなーって毎日考えちゃうんよ…」
小「みなちゃんは何も考えなくていい、大阪公演のこと考えよ?」
三「うん…気分転換にちょっとだけゲームせえへん?」
時間が解決する…
もう少し踏ん張ろう
ピコン
三「こた、何か来てるで」
僕はコントローラー片手にスマホを操作する
LINEを開いて
…目に飛び込んできたのは文字ではなく写真だった
小「!!」
僕は確かに声を出していなかったけれど、息をのむ音が予想以上に大きくて
三「なに?」
みなとが怪訝そうにスマホを覗き込む
咄嗟に隠そうとしたけど、見えちゃったみたいで
三「ちょ!見せて!!」
スマホを奪われる
夕『大阪公演終わったら2人で会って下さい』
その下には僕と夕がキスしている写真
全然気づかなかった…
三「何なんこれ…いつ撮られたん?俺居たやん」
小「…その前だね、これ」
三「…そんなに色々してたん?」
小「色々はしてない!」
三「…」
小「…軽くキスしただけ…多分2度くらい…」
あの時にもみなとに怒られてヤバいと思ったけど、こうして記録に残されると完全にアウトだ。
写真じゃ酔ってるなんて分からない
ただの浮気現場だ
あの日の事を、夕に何の釈明もなくお酒と一緒に消し去ろうとした罰なのかな…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!