市川くんの部屋を出て無言で階段を上がる
清「こた…充電したいねんけど」
きよのちょっとだけ甘えた声
小「…うん」
清「こたの話聞くし」
小「うーん…今はその話はいい」
清「充電ならええねんな?きて…」
部屋に入るときよは押し入れを指して
清「こっちでええ?何もせんから傍におって」
優しく手を差し出す
僕はきよに続いて布団に寝転がる
清「1人やったらヨギボーでええねんけど、やっぱりこたと2人ならこっちやな」
腕枕をして、反対の手で抱きしめてくれる
小「ねえ」
清「ん?」
小「僕がお子様で呆れた?」
清「俺の知ってるこたろうは出会った時から正味こんな感じやで?」
小「…きよ」
もっときよを感じたくて手を伸ばす
自分の手できよを抱きしめるとやっぱり落ち着く
小「怒ったり泣いたりウザいと思うけど…きよには敵わないって分かってる。」
清「…その言葉そのまま返したるわ」
小「きよがもし浮気したら…」
清「なに?急に…俺も殺されるん?笑」
小「後輩のライブでコメントした時、けんとの事『こたろうと同じ匂いがした』って言ってたじゃん、優しそうって」
清「人見知りやから、って意味やん」
小「同じ雰囲気、でいいじゃん!同じ匂いとか、やめて。匂い嗅いでる訳じゃないとしても、そう感じる」
清「分かったから、殺さんといて」
小「殺さない!きよは…監禁かな」
清「ちょっとありそうな答えやめて笑」
2人のスマホが鳴る
市川くんからだ
小「びっしり書かれてるー」
僕が知りたかったことだからじっくり読んでると、きよも隣で黙って見ているようだ
清「…ほんま、うん…大変やな。ごめんな、体調悪くなっても頑張ってくれて…」
「あ、ごめん、今日はこの話無しやんな」
小「…ううん、もう大丈夫!取り敢えずこれ見て明日頑張ルビィ!」
清「…俺もやるで。交代でええよ」
小「え!?でも、きよは…僕を抱きたいんでしょ?」
清「…そうやけど、しんどいって言ってるこただけ大変なのはあかんやろ?」
ちょっと!
抱きたいんでしょ?のとこで照れた顔が可愛いすぎ
きよは最後には僕の言うこと聞いてくれる
あんなに嫌がってたのに…
きよが折れてくれた事が嬉しくてにやけちゃった
小「抱きたいって言ってもらえるの嬉しいし、僕もその気でいたから大丈夫。その代わり、その時は本当に優しくしてね?上手くいかなくても嫌いにならないでね?それから、いつかは逆もね?」
清「急にいっぱい求めてくんやん笑」
小「いいの!」
どこかの知らない『先輩』のアドバイスも貰ってすっかり回復、ご機嫌!
小「きよ、ちゅーして?」
清「…ええの?」
小「ん、今日は軽く」
きよが覆いかぶさり、ゆっくりキスをしてくれる
触れるだけのキスを何度もゆっくり
…おかしいな
この前は多分、この先からすごく興奮しちゃったと思うんだけど
…あぁ、この先を少し知っちゃってるから
だから体がこんなに熱くなるのか
きよの舌の感触をもう知っちゃったから
求めてるんだ
清「首とかはありなん?」
小「や、これ以上は…」
清「ん、分かった」
薄暗い押し入れも昼間のキスとは違う雰囲気を作り出してる
おまけに僕たちは喧嘩から仲直りしたばかりで…
もっといいよ、って言ってる唇を拒めない
だって19歳の健全な男
小「きよっ…やっぱりもっとしたいっ」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。