まだ母さんは帰ってきていないようだ。
その事を確かめて胸を撫で下ろした。
自分の部屋へ向かい、ベットに体を投げる。
真っ先に頭に浮かぶのはテオくんの事。
テオくんがこの話を聞いた時に、なんて言うのかはわからない。
でも、きっと僕から離れていくに違いない。
うちの家族は仲が悪い。
毎日母さんと父さんは喧嘩をしていた。
だが、ある日遂に父さんは家に帰ってこなくなった。
それが小4の冬の出来事。
それから母さんはみるみるうちに変わってしまった。
何もかも、ね。
小6になってからは良く殴られるようになった。
なんとか服で誤魔化せているけれど、
増え続ける痣を見る度に心臓が締め付けられる。
最近はテオくんが守ってくれるからクラスメイトのやつらからは殴られたりする事は減った。
だが、家庭内の話になるとテオくんに守ってもらう事なんてできない。
自分でどうにかするしかないのだ。
いつの間にかうとうとし始め、深い眠りについてしまった。
✌🐎🐇✌🐎🐇✌
目が覚めると辺りはオレンジ色から暗闇に染まっていた。
長い時間寝てしまっていたらしい。
寝ぼけながら時計を見ると
23:45
真夜中だ。
多分帰ってきていないようだ。
最近は母さんの帰りまで遅くなっている。
まぁ、何をしているのかは知らないけれど。
重い足取りで、キッチンへ移動する。
冷蔵庫にあるものを確認して、適当に料理する。
一応、母さんの分も作り、テレビを見ながら黙々と食べ、母さんの分のご飯はラップにかけて、机に置いといた。
僕はそのままパジャマに着替えて、再び深い眠りについた。
朝起きると、昨日作った母さんの分のご飯は皿ごとゴミ箱に捨てられていた。
✌🐎🐇✌🐎🐇✌
俺は朝早くに家を出て学校へ向かった。
独り言のように呟いて、俺は走り出す。
もしかしたらいるかもしれない。
あいつらが…
俺は学校に着くと、じんたんの下駄箱の中を確認した。
次にじんたんのクラスを覗く。
すると
✌🐎🐇✌🐎🐇✌
今日は珍しくテオくんが朝早くに学校へ行ったらしい。
いつもなら僕より遅くに来るはずなのに…
一体どうしたんだろう?
中靴に履き替え、クラスへ向かうと…
と、怒鳴り声が聞こえてきた。
廊下は急に騒がしくなり、キャーキャーという悲鳴のような声も聞こえてくる。
俺は急いでクラスに向かうと、
あの3人と取っ組み合いをしているテオくんがいた。
俺は急いでテオくんに駆け寄った。
僕はテオくんの服の裾を掴みながら泣いてしまった。
その後、テオくんと3人は職員室に呼び出され、色々事情を聞かれたようだ。
それから反省文1枚…
✌🐎🐇✌🐎🐇✌
ごめんじんたん、多分無理だわ。
それは、君を守らなきゃいけないから。
俺は傷ついたって良い。でも、
じんたんが傷つくのは許せない。
だから、俺は自分を犠牲にしてでも君を守りたいんだ。
だから、いつかじんたんの秘密も教えてよ。
そしたらいつだって、辛い時、悲しい時ヒーローみたいにすぐ駆けつけるから…
……To be continued
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!