第14話

始まったばかりだけど。
903
2018/04/14 08:32
入学してからもう2週間が過ぎた。
時の流れは早いものだ。
いつの間にかじんたんから俺への警戒心は薄まっていた。
と言っても…まだ敬語が抜けてないんだけどね?

今日も俺、みや、じんたんの3人で爽やかな風にあたりながら弁当を食べていた。
テオ
ねぇ〜!じんたん!
じん
うぇ?、ん、何ですか?
テオ
も〜…そろそろ敬語やめよ!?
みや
確かに!じんちゃん、てっちゃんに凄い他人行儀じゃない?w
じん
え、え〜…急にそう言われましても…
テオ
だって、俺とじんたんとみやの仲だよ!?
もう良くない!?
みや
そーだそーだ!
じん
え〜ぇ…
テオ
あ!じゃあわかった!
俺にあだ名!あだ名付けて!
じん
あだ名??
みや
お、それいいじゃん
テオ
あだ名付ければ他人行儀っぽいの無くなるんじゃない?
じん
なるほど…
じんたんはしばらく考え込んだあと、笑顔でこう言った。
じん
じゃあ…「テオくん」とかどうかな?
テオ
え…?
俺の心臓が大きく鳴った。

違う、これは偶然だから。単なる奇跡的な何かだから…。

だって、「あの時」…じんたんが忘れた頃の記憶と同じあだ名付けてくれたんだよ?
何これ、運命ってやつ?
俺、馬鹿だから期待しちゃうよ


俺はふいにその響きを懐かしく感じて目の周りが熱くなった。
みや
お!いいじゃん!これからは俺も「てっちゃん」じゃなくてテオくんて呼ぼ…って!?
どした!?
じん
え!?だ、大丈夫ですか!?
テオ
え?何が?
みや
気づいてないの!?涙!涙出てるよ!?
テオ
は…?
自分の頬を触ると、確かに濡れていた。
やっぱり俺って涙脆かったのか。
じん
こ、これ…ハンカチ使って?
テオ
あ、ありがとう…
じんたんのハンカチで涙を拭う。
じんたんの香りがふわっと鼻をくすぐった。
みや
もー、急にどうしたんだよ!びっくりしちゃったじゃん
テオ
ごめんごめん…目にゴミが入ってさ
じん
て、テオくん
テオ
ん?
じんたんが俺を呼ぶ。
あぁ、懐かしい呼び方。
その一言だけでも俺の心は揺さぶられる。
じん
呼んでみただけ!
テオ
っ…
そう言って笑ったじんたんはとても可愛かった。
✌🐎🐇✌🐎🐇✌
テオ
はぁぁ〜…やべぇって…
ホームルームが終わった直後。

小学校以来、久々の「テオくん」呼びに思った以上に面食らっていた。
ドキドキが収まらない。
頬が熱い。

じんたんに呼ばれるだけでこんなになっちまうなんて…
俺めっちゃじんたんの事好きなやつじゃん。
テオ
んぁぁぁぁ…
じんたんに会いたい。

じんたんと話したい。

じんたんを抱きしめたい。
俺は、2人で別れのハグをした時の温もりを忘れられない。
何年経っても。

多分一生忘れない。
みや
おいっ
頭をスパーンと叩かれる。
テオ
いって!?みや!?…とじんたん!
じん
い、いい、一緒に帰ろうよっ!
みや
じんちゃんタメ語だけで緊張しすぎw
じん
だ、だってぇ…
テオ
あっははは、うん!帰ろーぜ!
俺はつい笑ってしまった。
だって、じんたんが頑張って敬語からタメ語にしようとしてくれてるんだもの。


あー、やっぱ俺ってさ
テオ
幸せ者だなぁ…
✌🐎🐇✌🐎🐇✌
2人が楽しそうに前を歩く。
うん、とても微笑ましいのだが…
みや
むぅ…
それに納得していない自分がいた。
なんでだろうね?
まぁ、だいたい検討はついてたりするんだけどさ…
俺、
やっぱりじんちゃんの事が「好き」なんだ。
友達とじゃなくて、「1人の男」として。
あの時初めて親友となった時、じんちゃんの笑顔を見るだけで胸がはち切れそうになった。
これが「恋愛感情」なんだって思うのには時間がかかったけど…

もう何年も想いを募らせている。
でも、じんちゃんは俺と同じ「男」
そしてこの感情は世間一般では許されない。
だから隠し通そうと思っていた…のに

そこで
テオくんが現れた。
テオくんは多分じんたんが好き。
恋してると思うんだ。まぁ俺の勘だからまだわからないけど…

テオくんはじんちゃんに告白しようとか思ってるのかな?
ずっと前から好きだったのかな?

わからない、わからないけど
みや
じんちゃんは俺のだから…
じん
みやー!早くおいでよ!!
眩しい君の笑顔を見る度に胸が苦しくなる。
倒れそうなほど重い気持ちを背負いながら、俺は2人の元へ走った。
……To be continued

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