感じたことがない壮絶な痛みに喉がちぎれるくらいの叫びを上げる俺と楽しそうに笑い声を上げるショウ。
左が軽くなったのを感じて、ウワッと声を上げ、起き上がる。
荒い息とジワジワとかいた冷汗で夢かと思い、自分の顔に触れる。
左は見えづらいが、眼球の形が両方あるのでホッと息を吐いた。
初めて聞く低い声の方を見ると、鼻筋の通った黒髪のショートヘアの男性が本を開いてこっちを見とった。
本を閉じたそいつ……タキは穏やかな笑みを浮かべて、俺がいるベッドへ上がり込んできよった。
微笑んだまま、俺に両手を差し出すタキがあの残酷で卑劣な犯行と声明文の残すやつとは思えへん。
俺は俺は大きく息を吐いて、タキの腕を掴もうとしたら、ニヤリと笑ったタキに抱きつかれ、左腕にとてつもない痛みが走る。
狂ったように高笑いをしながら俺をつき飛ばすタキ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。