時間をかけて暴いてきた真相を本人に馬鹿にされるのは面白いわけがない。
顔を上げたショウの眼光は鋭くて、思わず背筋が凍る。
ショウは左の口角を上げ、ナイフで脇に抱えとった黒字で何かが書いてあるパックを俺の顔の前で切り裂いた。
中の液体が顔に勢い良くかかる。
なんとか目をつぶり染みるのを防いだものの、なんとなく気持ちは良くなくて、低い声で言う俺。
ナイフの先を俺の顔に向けながら舐め回すように俺を見て言うショウ。
ショウの役割は血抜き……解剖はリュウのはずやと頭の中でパニックになる。
本気だと感じてやめろと声を上げるにも、震えで喉につっかえる。
俺の瞳にショウの人懐こい笑顔が映り、冷たいナイフの先が触れたのを感じた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。