『小林って可愛いよな。』
『愛佳って可愛いよね!』
「そう?ありがとう…」
その言葉が怖かった。
嘘か本当かわからない言葉が
とにかく怖かった。
でも、あなたがかけてくれる言葉は違った。
ひとつひとつ、なにかが違った。
それから私はずっとあなたに惹かれ続けた。
離れたくなかった。
うちの猫のウルは
ずっとまあたその近くで寝転んでる。
ウルまでまあたそを取ろうなんて
自分のことをそう呼んでいる。
自覚しようとしてやっと自覚できる。
まあたそはとっても眠たそうで
今すぐにでも抱きしめたくなる。
『これっきり』なんてできるはずがない。
そんなこと私が1番わかってる。
まあたそは私の唇を勢いよく奪った。
その味は、その暖かいものの味は
とろけそうなくらいなとろとろで甘くて…
まあたそは私から手を離して、
スマホをいじりはじめた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。