[バタッ]
[ピーポーピーポー]
誰かの声が聞こえる。
目を開けると、真っ白な天井が見えた。
あれ。ここどこ。
わかんない。この人誰?私って誰?何も思い出せない。
と、先生が告げると青髪の人と一緒に部屋を出ていった。私ははぁ…とため息を吐いた。自分の名前を思い出さなければ!と思うが、その理由が分からなかった。何故思い出さなければいけないのか。
「家に帰らないと」
という思いが横切った。家の場所も分からないのになんで?と不思議に思った。思い出そうとしたら頭が痛くなる。思い出してはいけないのかも…とさえ思ってしまう。
「お母さんが待ってる」
え、お母さんって誰?誰かの顔が頭に浮かんだ。でもその人物は傷だらけで目の所にはモヤがかかっている。その人物は私に近づいた。また1歩。また1歩。と。恐怖を感じた私は逃げた。逃げた逃げた。でもその人物は追いかけてくる。
暗闇の中、やみくもに走った。走って走って走った。けれどそこに出口なんてない。その人物は、ケタケタと笑いながら私を追いかけてくる。
いや、いや、と言っても止まってくれない。
私の目の前でその人物は止まった。その人物が何かを言ってるが聞こえなかった。私の中にはもう、しぬ、という思いしかなかった。その人物が何かを言い終わったかと思うとニヤリと笑った。
「あぁ。死ぬんだ私」
そう呟いた。誰にも聞こえない声で
私はほっとした。すごく怖かったから。
手に生ぬるい液体がかかったのが分かった。泣いているの?私。
そうだ。いつも優しく迎えてくれた。家も隣で、小さい頃毎日のように遊んでいた。穏やかで私の憧れだった人。
どうして?と思ったが、今全て思い出したらさっきの夢に繋がる気がした。やっぱりやめておこう。
そうだ!
そう言ったら、みんなはおどいた様子でこういった。
「やめておいた方がいいわ/ダメ!」
私は布団に被った。そうして、いつの間にか眠っていた。
私が目を開けると、天井はないようであたり一面が暗かった。え…。まって、まって、この景色見た事ある。
そう、それは私がさっき見た夢とそっくりな景色があった。でも、さっきとは違って立ってる人が違った。
「零ちゃん?」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。