・付き合ってます(同棲してます)
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いつからだろう、一人で寝るようになったのは。いつからだろう、恋人が遠い存在になってしまったのは。いつからだろう。
今日も一人で帰って、一人でお風呂に入る。
今日も仕事かな。忙しいもんね。
最近はお互い忙しくて、俺が寝てからめめが帰ってきて、俺より先にめめが家を出るから、全然話せてない。
二人で寝るために買ったベッドも一人で寝るには広すぎて、なかなか寝られない時もあるけど、今日は寝不足状態で仕事をしていたからか知らないうちに眠っていた。
パチっと目を開けばもう朝で、隣にめめの姿は無かった。
あ、今日俺だけオフなんだった。
めめ仕事じゃん。
ボケた頭でそんなことを考えていたら突然スマホの通知音がなった。開いてみるとめめで、ワクワクしながらトーク画面を開いたら
「今日もご飯行くことになったからご飯いらない。ごめんね」
それだけ。ワクワクしてた分残念になる。
返信をする気力も無くて、ブチッとスマホの電源を切った。
今日も話せないのかな…。泣きたくなんかないのに涙が出てきて、誤魔化すようにまた布団に潜った。
次に目を覚ましたのはお昼の1時で、戸棚からでてきたカップ麺を食べてスマホを開くけど、誰からも連絡は無くってまた暇になる。
俺の思い違いかもしれないけど、最近めめが俺に冷たいような気がする。この前久しぶりに二人で出掛けたときだって
とか、
って言われたっけな…。
あぁヤバい。また目に涙が溜まって乱雑にパーカーの袖で拭った。
その時、誰からか電話がかかってくる。
電話の主は康二で、沈んだ気持ちを晴らしたくて電話に出る。
いつもの佐久間を装って。
こんな時には嬉しいお誘いだった。
康二とゲームをしてたら、こんな嫌なことも忘れるような気がして。
康二に言われて初めて気づいた。
さっき泣き止んだと思ってた。
こんなに寂しかったんだ、俺。
そう自覚してしまえばもう頬を伝う涙を止められなくて。
寂しいって感情が限界に達して、今は俺の事を心配してくれる康二に縋ることしかできなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!