(Watanabe)
康二から連絡が来たのは夕方の四時。
遅すぎだよ…。
「もうちょっとしたら帰るからねー!」
置き手紙に行き先は書いてなかったけど、どうせふっかのとこなんだろうな…。
もう康二は俺に飽きちゃったの?
いろんな事を考えていたら、俺のお腹の音がなる。
腹減ったなぁ…。
この前、夜ご飯を作ろうとして手を切っちゃって、自炊は禁止!って康二から怒られた(笑)
それからは一切ご飯を作ってない。
今日は目黒か…。
そう言ってキッチンに立った康二。
今日はなんのご飯なんだろ?
正直、なんでもなくはない。
今の俺は嫉妬の塊だ。
俺の康二を取られたくない。
でも、そんな事、言えないし。
ご飯を食べ終わって、洗い物をしている康二を見ていると、
と聞かれる。
あぁ、もう無理。自分のせいって気づいてないんだ
俺のこの気持ちに気づいてもらわないと困る。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!