(Sakuma)
こんな会話をするのは、付き合ってから何度目だろうか。なんか、いっつも同じシチュエーションでこんな話をしてる気がする。
原因はそっちのせいなのに、なんで余裕そうにしてられるんだろ。本当に腹立つんだけど。
そう。俺の彼氏は信じられないほどの浮気性。
もう二度と繰り返さないとか言って、何回同じ過ち犯してんだか…。
でも、俺はめめの過去の事を知ってしまった以上、強く怒ることは出来なくて。
その言葉も本気で言ってんのか疑ってしまう。
だったら行くなよ。
なんて、めめにとっては酷な事なんだろうな。
それでも、誰かと身体を重ねる事を許せるほど、俺はドライじゃない。
はっきりとそういえば、さっきまで俺に背を向けてたくせに急にこっちを向いて俺の方まで歩み寄る。
おでこが付きそうなほど近くに来て、俺の目を覗き込んでくる。
これもいつものパターンだって分かってるのに、その黒い瞳にドキドキしてる自分にも腹が立つ。
ホントにずるいよね、めめは。俺が好きって言うの分かってて毎回毎回こんな質問してくるんでしょ?
何も良くないしホントにそういうとこ嫌い。
…だけど、嫌いになれない。
俺が呆れたようにすれば、急に俺のことを抱きしめて不安そうな声でそう言う。
死んじゃうくらい俺のことが好きなら、早く俺だけのものになってよ。
そんな気持ちには蓋をして、
と、それだけ言ってめめの背中に腕を回す。これ、結構マジだよ?笑
めめは知らないだろうけど、お前の背中、俺のって印で溢れてるからね。
誰にも取られたくなくて、めめが眠ったあとに背中や太腿の裏に俺のって印をつけてた。
本当にお前を愛してるのは俺だけだよ。
めめのためなら何回でも愛してるって言ってやるし、お前のその空っぽな心を俺で満たしてやるからさ、早く俺のものになってよ。
________end________
→解説読んでください!!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。