(Meguro)
無言で頷いたラウール。
よし、ラウールを味方にできた。
コップ一杯の水に目分量の媚薬を入れる。
これでよし。あとはこれを舘さんに渡すだけ。
お、丁度いいときに上がって来てくれたね。
ラウに目線で合図を送る。
ラウ、いいぞ。
さすが映画に出てるだけあるね。
その後も3人で話したりしてたんだけど、目の前にいた舘さんがしきりに体を動かしている。
そう舘さんが言ったとき、僅かだけどニヤリとラウの口角が上がったのが分かった。
こんな事を聞かれるなんて思って無かった舘さんは、困惑した表情でラウールを見下ろす。
上目遣いであざとく舘さんの事を見るラウがなんだか小悪魔に見えてきた。
困てるような表情でうるうるした目で俺を見つめる舘さん。ごめんだけど、超かわいい。俺を煽ってるようにしか見えないよ。
そう言って首に触れたら、体の力が抜けてその場に倒れ込んでしまった。
そんな舘さんを抱き起こしてベッドに横たわらせれば、月明かりが俺らのことを妖艶に照らしていて、俺の体も熱を帯び始めた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!