エイジは諦めず、
また私の頬に手を添え
軽く顔を自分に向けて傷を確認しようとする。
本当になんなんだよ
あんなにシカトしてたのに
あんなに冷たくするくせに
ひどい
ひどいよ エイジ
もういいよ
もういいの
私はエイジの手首を両手で掴みどかそうとするが、
呼吸が突然苦しくなり力が出ない。
怖い
思い出すだけで虫唾が走る。
怖い
怖い
怖い
怖い
怖い
どうしよう
どうしよう
どうしよう
どうしよう
どうしよう
どうしよう
どうしよう
パニクってた頭は、
わずか一瞬で、白紙になる。
ピリピリ感じてた頬の痛みも、
今じゃあ無感覚になる。
また君に唇を奪われる。
君のキスはまた
嫌なほど優しくて、
嫌なほど柔らかくて、
嫌なほど暖かくて。
またこうやって同じ過ちを繰り返す様に
君を欲しがってしまう私も
大っっっっっっっっ嫌いだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!