クロユリの様子が可笑しい。
苦しんでいる。
いや、何かに怯えているようだった。
クロユリの体から黒い液体が出始める
そして、
彼らを包み込んだ。
知ってしまった。
_彼女_の悲しく辛い過去を
目の前の人を
助ける方法が、
浮かばない。
ただ、
涙を流すだけだった。
助けを求めても
誰も助けてくれず
親からの虐待
学校でのいじめ
親友の裏切り
母親の自殺
そして…
彼女は
壊れてしまったんだと分かった。
すると急に
全身に痛みが襲う
夕焼けに染る学校が見えた気がした
まさか…
クロユリ…
君は
世界を
憎んでいるのか
と理解した。
そして、黒い液体が体から離れ
彼女の元へと戻って行った。
ここに居る全員が同じものを見たのだろう。
困惑する者
涙を流す者
助けたいと思う者
自分は何のために、ヒーローになったのか考える者
貴「ふっ、ははははははは!」
鎌を振り回しながら笑う彼女を可哀想だと感じた。
貴「またな、人間」
先程とうって変わって
彼女の雰囲気は別物と化していた
何かが、彼女の中でおこっている
そんな事を考えていると
パチン
と指を鳴らす音がし
彼女の後ろには
大きな門が浮かび上がり、
彼女が近づくにつれ、
門が開いていく
それに向かって歩いていく彼女は
まさに、
死神であった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。