身体を揺すられて目が覚めた
ゆっくりと目を開くと私を覗き込む大きくて綺麗な瞳と目が合った。
きっと汚いと思ってる。そんな人ばかりだ。私を心配してる訳じゃない。ヒソヒソと何かを言って近寄って来ては逃げていく。
きっとこの人も…。
そう言って薄汚れてボロボロの私を見た。
見ないで。
私を見る目はいつも冷たくて苦しくなる。
でも、この人の目は何か違う。なんだろう。
暖かくて優しい目。
知らない。私は、こんな目、知らない。
早く逃げないと…。
ドサッ
立ち上がった途端、体制を崩して倒れてしまった。
どうしよう。逃げなきゃなのに、足が、体が動かない…。怖い…。私に関わらないで…。
そんなこと聞いてどうするの…?
家に連れてかれるの…?やめて…。そんなことされたら…殺される。
何を聞かれたって答えるつもりはない。
いや、声が…、出ない。怖い。
えも知れぬ恐怖に体が震えて、思考が霞んでいく。きっとなにか言えば家に連れてかれる。それだけは、避けなければ…。
するとその"うらさん"とやらはもう1人に何かを伝え、走ってどこかに行ってしまった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。