菊池side
「ぬあぁー!」
本当に突然だった
前々から感じていた膝や腰の痛みに気づかないふりをしていたぶん、数週間ほど経った今、猛烈な痛みに変わった
「はぁっ!はぁっ!泣」
涙が出るほどの痛みで意識が遠のきそうな感覚
「いたいっ!誰かっ!」
今回はソロのお仕事で、生憎、頼れる人が誰1人といない
「はぁっ!やっべ、、、」
死がすぐ近くにあるような感覚で恐怖に身を震わせる
大きいスタジオだから、廊下の人通りも多いはずなのに、こんな時に限って、1人もいない
「っくそっ」
何をどーすれば痛みが落ち着くのか、試してみてもダメで悪化するばかり
「んはっ!はあっはあっ、、、くるしっ」
呼吸も苦しくなってきて、俺死ぬのかな、、、なんて思いたくもなってくる
声を出すにも、自分ぐらいにしか聞こえない声しか出ないから、ドアの向こう側になんて届くはずがない
なんとかして、周囲の人に気づかせようとするも、無理なもんは無理で
スタッフ「これ、ここまで運んで!」
スタッフ「はい!」
今がチャンスだと思って声を出そうとするも
「だっれか、、、こ、こ、、、」
「あ、の、、、」
何度試しても全然ダメで
スタッフさんの声も遠くなってく
あぁもうダメだと思うと同時に意識も朦朧としてきて、俺はそこで気を失った
誰かの声が聞こえた気がするけど、、、
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!