阿部 side
トイレに来て個室に入れてあげて
ズボンを下ろせば 、佐久間の腹痛の原因である奴が
痛々しい水音をたてながら出されていく 。
気にしちゃうかなって思って
外に出ようとしたんだけど 、俺の手を掴んでるから
口に出さずとも分かるよって手を重ねてあげる 。
佐久間なりの行って欲しくないっていう思いを
人へ伝える方法 。
こんなことは本当に稀で熱の時とか今日みたいに
お腹痛いときとかでも10%あるかないか 。
だからこそ 、本当に辛いんだろうなって 。
佐久間「 んっはぁっいたいっ 。 」
勢いを落とさずにどんどん出ていく 。
「 痛いね痛いね 。 」
声をかけることしかできないのが
なんとも心苦しい 。
「 ごめんね佐久間 。
こんなことしかできなくて 。 」
佐久間のお腹を摩ってあげることと
握られた手を強く握ってあげること 。
このふたつしか出来ない 。
佐久間「 っふぅ… 。っぅぅ… 。 」
先程から苦しそうな声を出す佐久間の顔色は
まぁ最悪で 。
佐久間「 あべちゃっ吐きそっ 。 」
「 え 、まじか 。 」
生憎袋がなくて 、またまた我慢しないといけない
状況にさせちゃった 。
「 ちょっとふっかに電話する!! 」
電話をかければワンコールもしていないうちに
出てくれたふっか 。
「 どーした?? 」
多分 、いつでも対応できるように
ずっとスマホを持っててくれたんだろうなって 。
「 佐久間 、吐きそうって言ってて 。 」
深澤「 うえっ?! わかった!! 」
欲しいものとか何も言ってないのに
ブチっと切られた電話 。
もう一回かけ直そうと思った時に
コンコンと扉が叩かれる 。
深澤「 ごめん俺 。色々持ってきた 。 」
その持ってきたって言われるものの袋の中には
下痢止めや胃腸薬 、吐き気止め 、
そしてそれらを飲むための水 。
んで肝心な袋も5枚くらいと
十分な量が入っている 。
ほんっとに気が利くやつだなふっかは 。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。