雪の降る夜、君はひとりだった。
高校2年の冬。
レッスン帰りに公園によると、子供の泣き声がした。
泣いてる子供のことなんてよく分からなかったけど、見て見ぬふりは出来なかった。
声のする方に近寄ると、女の子がひとりで泣いていた。
「どうしたの?」
『お兄さん…。助けてくれませんか…?』
寒いせいか、ろれつが回っていなかったが、確かに伝わってきた。
「何があったの…?」
『私、いらない子…?助けてくれない…?』
女の子は涙声でそう言った。
今にも泣き出しそうな顔と声。
見ているだけで苦しかった。
「とりあえず、俺の家、行く?」
『良いの…?』
「うん、おいで。」
彼女と出会った日は、雪が降っていた。
ー 13,920文字
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update 2023/08/15